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Showing posts from June, 2017

けれど傷つく心を持ち続けたい

「あゆみが生まれて退院した日。宇治川沿いの満開の桜並木をずーっと、胸に抱きしめて歩いたんだよ。」母の話。 私の記憶にはなくても浮かぶ情景は、涙がこぼれそうになるほど綺麗で。 あぁ、生きている中でそんな美しい瞬間って、そうそうないのでは、、と思った瞬間、それは間違いだと思いました。 ーーーーー この間、何をするでもなく ぼぉっとおやつのような食事をしながら DVD を観て早く眠ったの。なんだか懐かしかった。 高校生の頃、何もない夕方、母とスーパーに行くついでにレンタルショップに寄り、毛布にくるまって貪るように名作映画を観てたこと。 イギリスにいた時、クラスメイトの会話に入れないのが悔しくて。図書館で借りた映画に英語字幕をつけて、何度も巻き戻して台詞を口にして、自分に染み込ませていたこと。 妹と二人暮らしの頃、あの広い一軒家でアンを膝に抱えて、窓を開けてお気に入りの映画を流しながら、歌いながら絵を描いていたこと。 実家を出て都心に住んで、あちこちの映画館が近くなって、浮かれて沢山のミニシアターに通い詰めて。 1 人歩く夜の帰り道は街の灯が眩しく輝いていて、誰にも言えない感想を胸に抱えて走って帰って、部屋で日記をつけていたこと。 映画を観る、それだけでも溢れる想い出。どの場所のどの記憶でも私の部屋は本や服や絵の具に溢れて混沌としているのだけど、私を創ってきた大切で大事な孤独。 あの頃当たり前と思っていた全てが苦しいほどに愛おしく思う。 今の環境も宝物です。わたし、感謝の気持ちが足りていなかったなぁ。あたりまえはあたりまえじゃない、というのが 19 の私の口癖だったのに、ちょっと能天気になってしまっていた。 ーーーーー そう、美しい瞬間なんて全てだ。あたりまえだと思っていた一瞬一瞬を思い出すと、どれもものすごい熱で私の中でキラキラ輝いているの。 大事にする。大切にする。今の環境、今周りにいる人々、今の私、今の私の気持ち。 18歳で始めたブログ。見返すのも恥ずかしいほどだけど消さずにおこう。そして、もっと書いて、描いて、残そう。

23歳って、おかあさんが結婚した歳。

地元に帰ると、今の生活は全部夢を見てたのかと ふと思うことがある。 友人たちとシェアハウスに暮らしてること。東京のど真ん中、中央区で働いてること。優しい恋人がいること。映画も展示もすぐに行ける地で生活していること。 私は変わってゆく、故郷も変わってゆく。 小さな商店の多くは店じまいしてしまった。近所の家が更地になっていた。いつも私を引っ張るように歩いていたハッピーを、抱えて散歩するようになった。アンが 1 ヶ月ほど、家に帰っていないらしい。 「描ける」「大学の勉強が活かせる」 そんなお気楽な決め手と共に、 1 年前テキスタイルデザイナーになった。でもフォーマルウェアと日本産生地の不振により、うちの小さな会社も厳しい状況だ。以前のブログに綴った「描きたい。描きたい。」それだけじゃダメになってしまった。今年に入ってからは描く以外の仕事も自ら探してするようになった。入社したての頃、企画・事務・営業のお仕事全部手伝ってたけどそれとは違う。何が正しいのかもわからないけれど、とにかく何でも一生懸命やってたら それを見ていてくれる人が 1 人でもいて 嬉しかったの。 私は 10 年ぶりに雇われた新人で、生地屋の業界にも同世代がほとんどいない。唯でさえ人員増加が難しい中、新卒の新人を入れるのは会社にとっても投資のような感覚だったと思う。今は唯、その期待に応えたい。結局今私を一番突き動かす原動力は、この 1 年で培った人々との関係性、人情なんだと思う。 「愛がある物作りがしたい」 ずっとそう思ってる。でもその想いをファッションに活かすのは、やっぱり難しいのかなと ずっと 思ってた。働き始めて益々確信してた。だけど今、それができる、それをしたいと感じてる。 絵を描く時と同じ想いで、今、私は服と向き合っている。 理不尽なむなしいやるせない思いも沢山したけれど、それらも全て抱きしめて乗り越えて。